M資金研究 4 /ゼロイン研究室
今年(2009年)2月26日、朝日新聞がこんな記事を報じた。
「バチカンの団体が融資」 ウソで1500万円詐欺容疑
「バチカン市国の資金運用団体が優良企業に融資する。手続きの関係で弁護士を雇う金がいる」などと持ちかけ、1500万円をだまし取ったとして、埼玉県警は26日、横浜市戸塚区の不動産会社役員加藤雪三容疑者(71)=別の詐欺罪で公判中=を詐欺と偽造有印公文書行使の疑いで再逮捕したと発表した。
蕨署によると、加藤容疑者は05年12月ころから、埼玉県戸田市の女性(62)に「バチカン市国の団体が日本の企業に資金融資をしている。返済する時は5倍にして返す」とうその話を持ち込み、弁護士費用やバチカンへの渡航代、印紙代などの名目で、3回にわたり計1500万円をだまし取った疑いがある。「大蔵省」と印字した架空の証明書などを女性に見せた疑いも持たれている。
同署はこの他にも数人が計1億円以上だまされているものとみており、余罪を追及する方針。
どうやら、新手のM資金詐欺がうごめき始めているようだ。しかし、バチカン資金とは、また、興味深いところに目をつけたものだ。実は、バチカンの名が、M資金詐欺に登場したのは、これが初めてではない。
明治製菓の会長がM資金詐欺に引っ掛かり辞任せざるを得なくなったと報道された事がある。
ジャンクマルクと呼ばれるマルク債券を集めると金に代わるというM資金話あつかうような得体の知れない人物に、18億円という高額の小切手を切ったことで信用失墜したことが辞任の背景にあるというのである。
この人物がいうところのマルク債券とは戦前ドイツで発行されたというふれこみで、ここ数年裏金融ブローカー達の間でブームになったもので、さまざまな種類のカラーコピーが出回った。
この債券が戦後日本の財産として何十万枚も神社などに保管されていた。それが今年になって封印がとかれ日本政府が秘密に換金しはじめるというのが物語だったようだ。
このマルク債券には、欧州の統一通貨ユーロがらみの別なストーリーもあってそれは欧州の通貨特にドイツへの影響力を強めるために米国が買い上げるというもので、債券番号リストつきで出回った。
これまで流布したM資金詐欺話としては、GHQの秘密資金の他、様々な国際的な秘密資金の話がある。基本的な筋書きは同じだが、マルク債をはじめ、マルタ騎士団資金、バチカンマネーなど、多くの筋書きがあった。
こうした特別な資金が融資されるといった話は、詐欺である。世界は、秘密資金など存在できない方向に向かっている。くれぐれも騙されないようにしていただきたい。
詐欺への警鐘の意味をこめて、かつて作成したものだが、今回は、M資金についての年表を添える。参考にしていただければ幸いである。
M資金事件年表
1945年10月1日 GHQ(連合国軍総司令部)が日銀を査察。この時に押収されたダイヤモンドがM資金伝説の発端となる。
1954年 『真相』4月号に、謎の神父ブルーノ・ビッターが管理するM資金原資のメリケン・ファンド、四谷資金の記事掲載。
1970年5月 全日空大庭哲夫社長、3000億円のM資金融資話で念書を書き、失脚。
1970年9月 富士製鉄(現新日鉄)を舞台にした特別融資詐欺事件で金融ブローカー山崎勇逮捕。後に不起訴。
1978年12月28日 俳優田宮二郎、2000億円のM資金融資詐欺で1000万円被害。猟銃自殺。
1979年11月 欧州諸国政府、金融機関出資のグリーン資金融資話に特殊製紙社長が11億円被害。
1980年1月 不動産ブローカーが米国大使館財務官付き嘱託と称し、ガリオア・エロア資金(占領地経済復興援助)融資詐欺で中小企業16社から2億2400万円詐取。
1980年5月 世界平和連合会を舞台のユダヤ資金詐欺で禰宜田貞雄全国指名手配。
1984年4月 青柳ハツグループが首相、蔵相の偽造印使用の公文書を偽造、国債還付金確認証書詐欺で129人から25億8000万円詐取。
1987年6月25日 青柳ハツグループ、国債還付金残高確認証、銀行預金証書、国債預かり証を使って数人から20億円詐取。逮捕。
1988年4月25日 青柳ハツグループと同じ国債還付金残高確認証が海外に流出。
1989年3月1日 天皇陛下の親族を名乗るグループが、東京、福島の経営者にM資金融資を持ちかけ、数千万円詐取。
1992年7月 「昭和天皇のご落胤」を名乗る男の中小企業育成基金詐欺で中小企業経営者254人、16億2600万円詐取。
1993年2月8日 還付金残高確認証使用のM資金詐欺が米国で頻発し、外務省が大使館に注意を通達。
1993年9月13日 米サウスカロライナ州で日本人をふくむ3人が逮捕された詐欺事件で、還付金残高確認証の使用が判明。
1993年11月 大日本インキ川村茂邦社長、10兆円のM資金をあてにした土地開発事業で不動会社から損害賠償請求。
1993年12月4日 海外で暗躍の国債還付金残高確認証詐欺グループ、日本人5人、逮捕、指名手配。
1994年3月18日 M資金詐欺で振り出した額面50億円の手形のコピーが出回ったための信用不安で大証一部上場の建設機械メーカー、光洋機械産業会社更正手続き決定。
1994年5月20日 元名古屋銀行東新町支店長ら4人、1億4000万円詐取のM資金詐欺で逮捕。
1994年5月20日 無担保で10兆円まで融資ともちかけるM資金話が数社に持ちかけられていた事が判明。
1994年5月31日 日産自動車副社長、M資金詐欺で辞任。
1994年6月16日 不況下に負債を抱えた経営者らに融資を持ちかけるM資金詐欺横行で、警察庁全国に捜査の徹底を指示。
1994年10月19日 新手のM資金詐欺で、額面3200億円の三菱銀行(現東京三菱銀行)の偽造別段預金入金票出回る。
1995年2月23日 中堅スーパー「ファミリー」がM資金詐欺で2000万円被害。金融ブローカーの全国手配。
1995年3月 阪神大震災復興名目の融資話が神戸周辺に出回る。
1996年11月2日 50億円の債務保証事件をめぐる特別背任で逮捕されたツムラ前社長が1992年に資金繰りのためM資金導入を画策したが、会長である父親の一括で中止していた事がわかった。
1997年6月28日 大蔵省の関連団体「ジャパン・ジャッジ・マネー」(日本国際資金運用協議会)を名乗り、5000億円の融資話で滋賀県の建設会社他バブル崩壊後の資金繰りに苦しむ中堅企業やベンチャー企業など数10社が被害に。
1997年12月 第一家庭電器社長辞任に絡んで、M資金がらみのトラブル説浮上。
1998年1月 マルタ騎士団を名乗って会社経営者らから1億7000万円詐取のグループ摘発。
1998年8月 ジャパン・ジャッジ・マネーの一味、宝塚市長室を舞台に数千万円の詐欺、現職市長がM資金の保証人になるスキャンダルに発展。
1999年2月 かつての人気グループ、フィンガーファイブの元リーダーがM資金話にだまされ、400万円被害。
1999年4月20日 宮内庁資金、米国秘密資金の融資を持ちかけるグループが中小企業数10社から総額1億円以上の詐取判明。
1999年10月 額面5000億マルクの戦前のドイツマルク債によるM資金話がブローカー間に出回る。
2000年2月16日 政商として知られた国際興業の故小佐野賢治社主の隠し子を自称し、M資金融資話で大田区の女性宝石商から4135万円詐取の天野光子逮捕。
2000年2月20日 額面2兆円の架空国債還付金残高確認証を宮崎県の銀行に持ち込み、保護預かり証をだまし取ったグループ逮捕。



