「自衛隊『影の部隊』情報戦 秘録」紹介
「自衛隊『影の部隊』情報戦 秘録」
吉田内閣首班阻止・GHQの国会工作、金大中事件、大韓航空機爆破テロ犯の真相――
情報戦という、もうひとつの戦いの歴史が解き明かされる!
かつてマスコミや革新政党から「影の軍隊」あるいは「影の部隊」と呼ばれ、警戒された組織があった。自衛隊にあって情報収集と分析を専門におこなう『調査隊』と情報教育を行なう『調査学校』だ。戦後、米軍陸軍情報部(CIC)にかかわり、『調査隊』と『調査学校』の生みの親の一人である著者の、知られざる戦後情報戦の内実が今ここに明かされる。
目次
はじめに
序章
第1章 敗戦からの決意
第2章 国会議事堂の情報員
第3章 GHQの国会工作
第4章 調査隊の誕生
第5章 調査学校長・藤原岩市との軋轢
第6章 金大中事件
第7章 ソウルオリンピックとKGB
第8章 朴泰俊を守れ
第9章 情報秘録
後記
語れなかった真実が明かされる!
《本文より》
電話がけたたましく鳴った。家内が受話器を取って応対している。
「大使館の黄さんからですよ」
黄泰允は韓国大使館の2等書記官、実は韓国中央情報局いわゆるKCIAの情報員だった。
「大騒ぎになっているな」
黄は緊張からか押し殺したような声で応えた。
「たった今大使館全員に、退去準備命令が出ました。お目にかかってお別れのご挨拶もできずに、帰国することになるかも知れません。それでお電話したんです」
大使館内部の電話だろう。これでは込み入った話はできない。私は、慌ただしい中に連絡をよこした黄の気持ちを汲み取って早々に話を切り上げた。事態は私の予想した以上に深刻な問題に発展しそうだった。
1973(昭和48)年8月9日。来日中の韓国人政治家金大中が行方不明になって2日目の朝だった。



